クージーの気ままな趣味津津

MCヘッドアンプの自作(充電機能付きニッケル水素電池電源仕様)

タイトル
KUJI NO KIMAMANA AUDIO LIFE

作っては壊し作っては壊しの繰り返し・・
一体いつになったら自分好みの音にたどり着くことやら(^_^;)

充電機能付きニッケル水素電池電源
MCヘッドアンプの自作
ジャンク品

真空管を使った『MMカートリッジ用イコライザーアンプ+プリアンプ』(未公開品)に、MCカートリッジもつなぎたいとかねがね思っていました。昇圧トランスを使う方法もありますが、昇圧トランスは高価でなかなか手が出ません。

最近専門誌等で音の良いオペアンプが取り上げられているのを見て、ちょっと試してみようかな?と軽い気持ちでヘッドアンプを製作してみました。オペアンプを使った回路は非常にシンプルで物足りない(?)ので、どうせ作るなら・・と昔のゲーム機用のACアダプターとニッケル水素電池をジャンク箱から引っ張り出し、充電回路内臓の充電池駆動方式にしてみました。


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設計編・充電回路

充電回路

ニッケル水素電池の電流容量は通常2,000mA/hです。一般的に、充電電流は電流容量の10%程度が最適と言われていますので200mAとなり、充電時間は約10時間と言うことになります。

       (2000mA/h)/200mA=10h

ケイタイのように四六時中通電することはないので、あえて回路が煩雑な急速充電は必要ありません。また、今回使用した電池は1.2V電池が直列に5個つながれている6Vの電池です。

左の回路図のように充電電流は2個のトランジスターによる定電流回路で制御させることにします。Tr1:2SC1626Y、Tr2:2SC1815Gと手持ちの年代物(笑)のトランジスタを使いました。Tr1はコレクタ電流が1A程度のパワートランジスタなら何でもよく、Tr2は小信号増幅用です。

@ Tr1のエミッタ抵抗R4の決定

ACアダプターの電圧は11.6V、ニッケル水素電池は6V、逆流防止用ダイオード1S1885の順方向電圧iF;0.75V、Tr1のエミッタ・コレクタ飽和電圧VCE(sat)は0.2V程度なので、

       R3=(11.6V-(6V+0.75V+0.2V))/200mA=23.25Ω

以下であれば動作可能です。従って、電池をあと1本追加しても十分充電出来ます。手持ちの都合でR4を22Ω(3W)としたので実測ではコレクタ・エミッタ間電圧VCEは1.3V程度、Vc点は3.55Vとなり、充電電流は160mA程度になりました。

A Tr2のエミッタ抵抗R3の決定

Tr2のベース・エミッタ間電圧VBEは0.7V、Vc点の電圧は3.55VなのでTr2のコレクタ電流Icを仮に10mA程度流すとすると、

       R2=(3.55V-0.7V)/10mA=285Ω

となります。これも手持ちの関係で330Ω(1/2W)にしました。従って、コレクタ電流は8.6mA程度となりました。

B R2の決定

Tr1の電流増幅率hfeは150(別途測定済)だったので、Tr1のベース電流IBは

       160mA/150=1.1mA

となります。この電流とTr2のコレクタ電流がR1に流れます。一方、Va点は、Tr1のベース・エミッタ間電圧VBEが0.7Vなので4.25Vとなります。従って、R1は

       R1=(11.6V-4.25V)/(8.6mA+1.1mA)=758Ω

これも手持ちの関係で1KΩにしました。かなりアバウトな設計ですが、充電中の電池電圧は刻々変化しますので実用上は何等問題ありません。

C 充電全回路

上記の充電回路を2回路組んでオペアンプ用の+/−電源を下図のように構成しました。

まず、アダプターを100Vコンセントに差し込むことにより、リレーが働きオペアンプへの電源供給を切断し充電を開始します。充電電圧が7Vを越えるとインジケーター用の緑のLEDが点灯するように5Vのツエナーダイオードを直列に挿入しています。充電完了後アダプターを抜いて電源スイッチをONすればオペアンプに電源が供給されます。

電池の電圧が5Vを下回るとインジケーター用の黄色のLEDが消灯して電圧低下を知らせます。こちらは3Vのツエナーダイオードを直列に挿入しています。

充電全回路

設計編・ヘッドアンプ回路

ヘッドアンプ回路

ヘッドアンプ回路は左図のように非常にシンプル(片チャンネル分)なものです。オペアンプは新日本無線製MUSES8920Dで2回路内蔵タイプなので1個で済みます。今回はこのアンプを既製作の『真空管式MMカートリッジ用イコライザーアンプ+プリアンプ』につなぎます。

一般的に、

    MMカートリッジ出力:2〜5mV
      MCカートリッジ出力:0.1〜0.5mV

なので、ヘッドアンプのゲインは40dB(100倍)もあればおつりが来ます。従って、オペアンプのゲインを決定するR3とR4は次のようにします。

       R4/R3=10K/100=100(倍)

MMカートリッジは昔のデンオン(現在のデノン)時代のDL-311LCを想定しており、その負荷抵抗は100Ω以上の指定なのでR1は200Ωとしました。

出力の結合コンデンサーC3は取りあえず1μFにしましたが、音質に影響のあるところなのでヒアリングでいろいろ試せるようにピンを立てて交換しやすくしています。


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製作編・充電部基板

充電部基板

サンハヤトのユニバーサル基板(140x40mm)を使用して写真のように組立てました。アンプ部基板・充電池・スイッチなどとはすべてナイロンコネクター(写真の白いパーツ)を使用して接続します。従って、後々の組立てが楽でスッキリしました。

また、ケースのフロントパネルの小さい穴からインジケーター用のLEDが見えるように、基板はL字アングルで立ててマウントするようにしました。LEDは基板裏側に取り付けています。LEDの位置を正確に合わせるのにやや苦労しました。

製作編・アンプ部基板

アンプ部基板

アンプ部基板は、中央にオペアンプ用ICソケットを取り付け左右対称にレイアウトしています。こちらも基板外部との接続はナイロンコネクターを使用しています。

この基板は寝せてケースにマウントしますので、4隅にスペーサーを取り付けてあります。

青色のパーツがピンと立ててハンダ付けしてある出力の結合コンデンサーです。基板をケースに付けたままコンデンサーを交換出来るので便利です。

製作編・ケース内組立て

ケース内

すべての基板・パーツ類をケース内にマウントした様子です。ケースはタカチ電機工業のCU-3N(200x170x60mm)です。インジケーター用LED(写真下の方)はフロントパネルに空けた穴にピッタリ合わせてあります。電池電源なので影響はないはずですが、一応アンプ基板から出来るだけ離しています。

左右のアンプのアースは別々に近くのシャーシに落としました。充電部基板の0Vは左アンプと同じアースポイントに落とします。MMカートリッジのアースは右アンプのアースラインに接続しました。今回のような微少信号を扱うアンプのアースには神経を使いますが、この結線で問題なさそうです。

試聴結果

JK-12001

試聴結果はどうしても手前味噌になってしまいあまり意味がないかも知れませんが、強いて言えば最近のオペアンプもバカには出来ないな・・と言うところですか。

組み立てたばかりでまだ堅さがありますが、中・高音域の解像度はかなりあります。あくまでも既製作のディスクリートタイプJK-10001フォノイコライザーアンプと比較しての話ですが。。。

電池電源とか真空管式イコライザー+プリアンプとの組み合わせ試聴とか単純に比較出来ない要素が多々ありますのであくまでも参考程度にしておいて下さい。

まっ、今回のアンプは自分としては成功かな・・と思っています。


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