ここでは、フォステクスの30cmコーン型ウーハーFW305のスピーカーエッジの張替え例を紹介しています。
スピーカーに使用されているウレタンエッジは、使用環境にもよりますがおおよそ10年から15年くらいでボロボロになってしまいます。
エッジ以外はしっかりしているので買い替えるのももったいなく、交換することにしました。
交換後、見た目と音は元に戻ったように思いますが、最低共振周波数Fsがスペック通りか否か?は解りません。その内測定してみようとは思っていますが。。。
従って、その範囲内で参考にして頂ければ幸いです。
よく確認したらかなり傷んでました。(^^;;ちょっと触っただけでもボロボロと崩れるところもあります。
これじゃいい音は出ないですよね。時々チェックしないとダメですね、ほんと。(汗)
コーン紙の方はほこりが付いているもののしっかりしていました。
今回エッジを調達したのは、ファンテック株式会社です。真ん中にあるのは接着剤セットで同時に購入しました。手順書が添付されているので、迷うことなく作業を進められました。
写真のように、劣化したウレタンは手で簡単に取れますので全てキレイに取り除きます。ウレタンカスはべた付きますので新聞紙等を敷くことをオススメします。
また、手だけだとコーンとの境に少し残ってしまいますので、カッター等を使って出来るだけ取り除きます。
FW305のガスケットはゴム製ですので、ウレタンとの接合部に平刀の彫刻刀を差し入れ、多少強引に引き剥がしました。
このガスケットは再利用しますので、紙の場合はもっと丁寧にやって下さい。ここまでは比較的スムーズに出来ました。
引き剥がしたガスケット下のフランジにはベタベタしたウレタンのカスが残っていますので、これを平刀の彫刻刀で削り取ります。
少し削ると彫刻刀の先端がウレタンに覆われ滑りが悪くなりますので、アルコールでマメに拭きながら作業を進めます。
作業の中でこの工程が一番大変でした。
完璧に取り除くのは難しいので、接着剤がのりやすいように平坦が出ていればOKとします。
写真程度でも結構時間が掛かり、彫刻刀を持った手が痛くなりました。(>_<)
本体を裏にしてコーンの裏に付いているウレタンを除去します。小刀の彫刻刀が使いやすいと思います。
コーン紙にダメージを与えないよう丁寧に出来るだけ刃を立てて削り取ります。この工程もウレタンクズが刃先にすぐまとわり付きますので、アルコールで拭きながら作業を進めます。
劣化したウレタンエッジを全て取り除いた状態です。ここまで来れば、後は新しいウレタンエッジを貼るだけですので肉体労働はありません。
ホッと一息。音楽を聞きながらコーヒーブレイクです。♪
いよいよ接着工程です。ちょっと緊張しますね。
接着剤はセットのハケで塗りますので、使いやすいように受け皿を用意します。使い捨て出来るものであれば何でもOKです。今回はマーガリンの蓋を使いました。(^^)v
一応、ウレタンエッジを本体に仮組みし問題がないことを確認します。
次に接着強度を高めるために、スピーカーを裏側にしてコーン外周部のウレタンエッジとの接合部に、エッジ幅より少し広く接着剤を下塗りします。
接着剤がやや透明になり始めたら次の工程へ移ります。
ウレタンエッジのR部分に接着剤が付かないよう注意しながら、エッジ部に接着剤を塗布します。
前工程のコーン側の接着剤が固まらない内にスピーディーに作業を進めます。
エッジとコーンとを貼り合わせたときに位置の修正が効くように、接着剤を少し多めに塗布するのがコツです。
いよいよコーンとエッジの合体です。失敗が許されないちょっと緊張する工程です。
少しずつエッジの内側をコーンの裏側にもぐらせて、張り付けながら一周させます。
このとき、コーンの表側に接着剤が付かないよう細心の注意を払いながら進めます。写真は4分の3ほど接着したところです。
張り合わせ部分に浮きがないか、裏と表から接着部を押さえて念入りにチェックします。
浮きている場所があれば、浮きがなくなるまで接着部を押さえ付けます。コーン裏側のエッジとの境もよくなじんでいるか確認します。(写真)
無事、コーンとエッジの張り合わせが完了しました。
ここで、接着剤が完全に乾くまで放置します。今回は念の為一晩置きました。と言うか、疲れたので止めました。(笑)
当然ながら、ガスケット側にも劣化ウレタンがこびり付いています。ゴム製なので、アルコールでゴシゴシ拭き取りました。
本日の作業は終了のつもりでいましたが、夜焼酎のロックを飲みながら終わらせました。(^^)v
乾燥後、フランジに接着剤をやや多めに塗布しエッジを接着します。乾くとコーンの位置修正が出来なくなるので手早く行います。
接着後、コーンを左右対称に両手で真っ直ぐに押したり引いたりして、ボイスコイルの擦れる音がないか確認します。異音があればコーンをずらして位置修正します。
エッジがフランジに接合されて接着剤がある程度乾いて来たところで、ガスケットを装着します。
ガスケットを仮置きして位置を決めた上で、一本ずつ抜き取って接着剤を塗布して戻すことを繰り返します。
化粧回しのようなものですから、それほど神経質になる必要はありませんが。。。
ガスケットが落ちないようダンボールで押さえながら逆さにして一晩乾燥させます。
逆さにすることによって、スピーカーの自重によりしっかり密着出来ます。
一連の作業が終わってホッとしましたが、「意外と簡単に出来たなぁ」と言うのが感想です。
一晩乾燥させて、これで完成です。(^0^)/すばらしく良い出来栄えで、一応見た目は満足です。
早速音を出してみました。ちょっぴりワクワクする瞬間です。
で、結果は音の輪郭が鮮明になり低音が気持ちよく前に出て来ます。おそらく張替え前がプア過ぎたのでしょうね。
スピーカーエッジが破れた状態でもそこそこ普通に音が出ます。
それではエッジって何のためにあるんでしょうか??
それは音量を上げてみればわかります。音量を上げると振動板が不安定になり音が歪んで来る場合があります。振動板が暴れて来るんですね。
エッジは振動板を常に正しい位置に保持する役割があるわけです。
また、エッジが破れていると振動板の前面に出る音と後ろ側に出る音が分離されず混ざってしまします。
バスレフタイプやバックロードタイプなど、ほとんどのスピーカーボックスは後ろ側から出る音も有効活用しています。
従って、この後ろ側からの音がうまく出ないと低音域の音圧が下がってしまい、薄っぺらなプアな音質になってしまうのです。